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80億人の表現者

「描くこと」には、違いを可視化して学び合い、本質を浮き彫りにする力がある。

Interview 2026/07/22
本園 大介さん(グラフィックレコーダー)
Interview 2026/07/22

本園 大介さん(グラフィックレコーダー)

もとぞの・だいすけ
1974年東京生まれ。グラフィックレコーダーの第一人者的存在。大手通信関連会社に勤務しながら独学でグラレコの技能を習得し、パラレルキャリアで、企業・官公庁・自治体・大学ほか500件を超えるイベントのグラフィックレコーディングやファシリテーションを担当。さらに“絵心がなくても描ける”グラレコのノウハウを体系化し、のべ2万人以上に指導するなど、グラレコの魅力発信や後進の育成、応用の可能性拡大を模索し続けている。一方、地方のコミュニティでは長年「漫画家」としても活動中。 著書:「その場で『聞く・まとめる・描く』グラレコの基本」(日本実業出版社)

グラレコとは?─考えや感情を可視化し、体験を共有するもの

「上手に描く必要はないんです。伝わる絵は誰にでも描けます。」
そう話すのは、グラフィックレコーダーの本園大介さんです。会議や講演、ワークショップの場で、人の話を聞きながら、リアルタイムに絵や文字で可視化していくグラフィックレコーディング(グラレコ)。絵を使って話を要約するだけでなく、頭の中にあるイメージや言葉になりきらない感情、場に生まれた熱量までを描いていくと言います。
では、言葉や感情を描くことで何が変わるのか?
今回のインタビューは、本園さんに終始ペンを走らせながらお答えいただくという、少し変わったスタイル。取材会場は、三菱鉛筆「o-i STUDIO」。誰もが「書く・描く」を楽しめるこの場所で、グラレコの楽しさと効果を体感させていただきました。

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対話しながら、絵・文字・記号でスラスラ記録されていくグラフィックレコーディング。単語が「感情を伴うシーン」として描き出され、話の関係性がみるみる整理されていきます。「コツを掴めば誰でも描けます」と本園さん。

Q

まず、グラフィックレコーディングとは何かを教えていただけますか。

本園さん(以下、敬称略)

グラフィックレコーディングというのは、講演や会議などの人の話を可視化するテクニックです。この人は「●(丸)」と言った、この人は「▲(三角)」と言ったというように、話したこと、思ったことをリアルタイムで可視化していきます。レコーダーが「■(四角)」を描くと、「そうじゃない」とか「そうだったのか」という違いや共通点が見える。そのやりとりを通して、互いの頭の中が可視化できるんです。 それから、感情を表現することができます。 自分の体験はエピソードになっていると記憶しやすいですよね。面白かった、感動したとその時の感情を書き留めておくことによって頭に残り、思い出しやすくなります。学生さん向けにグラレコを活かしたノートの取り方を話す時はそんな話をしますね。 また、会議でよく「“嬉しい”を作ろう」なんて言いますけれども、みんなが考えている“嬉しい”がどんな“嬉しい”なのかズレていることがあります。そうすると、「どんな感動体験をつくりたいんだっけ?」というところがすっぽり抜けたまま会議が進んでしまう。そういった部分も絵にすると見えやすいから、共通認識をつくる上でも意味があるんです。

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Q

議事録として文字で記録する方法もありますが、絵にすることで何が変わるでしょうか。

本園

議事録とグラレコ、どっちが重要ってことではなくて、参加者が同じ体験を共有できるかどうかなんです。 グラレコでは感情も記録するので「あの時揉めたよね」とか「こんな話で盛り上がったね」と思い出しやすいんです。共有体験があるとざっくりした絵でも共感できますし。 ただ、全体を細かく記録するということであれば、議事録の方が向いていて、グラレコで描けるのはよくて3割ぐらい。すべてを記録するとか、絵があれば解決するというわけではありません。文字にも絵にもそれぞれ得意・不得意があるので、議事録もグラレコも両方あったほうがいいですよね。 それに、グラフィックレコーディングって、視覚的なわかりやすさがあるので単純にみんながワクワクできるじゃないですか。

Q

はい、今、ワクワクしていますね。

本園

まさに、今感じていただいているワクワクがポイントではないのでしょうか。

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自分の声が絵になることそのものにワクワクし、“分かってもらえた”という安心と嬉しさを感じます。グラフィックレコーダーが100人いれば、100通りのグラレコになるとのこと。何を感じ取って描くかはレコーダーの個性だと言います。

Q

本園さんは、どういう経緯でグラレコを始められたんですか。

本園

すごく迷走していた時期があったんです。今の会社に「社員として雇ってあげる」と言われて、前の会社を辞めて入社しました。なのに、来てみたら契約社員で2年経ち、そうしたら「社員登用試験がある」と言われ、しかも、その試験に落ちたんです。「社員として雇ってあげる」という言葉を信じてやってきて、さらに当時は会社の仕事に一生懸命だったから、自分の中ではどん底でした。その時に「会社だけにとらわれていてはダメだ」と感じて、会社の仕事を終えた後に様々な勉強をするようになりました。プレゼンだったり、テクノロジーだったり、ワークショップとか、まちづくりとか、本当に何でもやりましたね。 その時の勉強メモが数百枚あるんですが、絵を使ったメモをかなり残していたんです。あまり意識はしていなかったけど、なぜか絵を使っていました。

Q

無意識に絵を使って学んでいたということですね。

本園

そんな時、あるイベントで「未来の椅子を考える」というワークショップがありました。みんなが「ああでもない、こうでもない」と文字を書いている時、僕は自然に椅子の絵を描いたんです。 その絵で、みんなの意見がすごくまとまったんですよね。 「あ、そういう椅子だと思っていたんだ」とか「自分はそう思っていなかった」と意見が出るから、「じゃあ、どんな形がいいでしょうね」と話が進んでいくんです。

Q

確かに、それは絵で見たほうがイメージしやすいですね。

本園

そうですよね。イメージの違いが可視化される体験だったんです。 最初は、グラフィックレコーディングというより、絵を使ってファシリテーションみたいなことをしていたので「グラフィックファシリテーター」みたいな役割をしていました。ファシリテーションが先ですね。 椅子ひとつ描けば、「この椅子は誰向けでしょう?」と話ができる。子どもを描けば、子ども向けの椅子に見える。高いところを描いて物を置いたら「ここに届く椅子にしたい」と考える。「いつどこで」と窓と太陽を描いたり時計を描いたりしてもいいですよね。5W1Hの表現ができるんです。そこに感情や色々な情報がストーリーのように表現されるので、話がどんどん広がっていき、「UX」とか「カスタマージャーニー」の設計みたいなところにもどんどんつながっていくんです。

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絵なら、5W1Hや感情を表現できる。場面を可視化し、イメージを広げたりつなげたりすることができる。

Q

もともと絵を描くのがお得意だったんですか。

本園

好きなだけで、全然得意ではなかったです。 グラレコを始めた頃からご縁があって地域新聞に漫画を連載しているんですけれど、その編集長にも「ヘタウマ」と言われました。それは褒めているんですかね、どっちなんですかね(笑)

Q

グラレコの技術は独学で学ばれたのですか。

本園

独学です。試行錯誤の連続でした。 当時、多いときは週8ぐらいでグラレコの活動をしていました。「こんなことをしているんですけど、描かせてくれませんか?」とお願いするんです。最初はライトニングトーク(3〜5分で話すプレゼン)みたいな場で描かせてもらいました。その反応がすごく良かった。「みんなに喜んでもらえるんだ」という気づきがありました。思考の整理もできるし、自分の宣伝にもなるし、一石二鳥ですよね。様々なイベントで描きましたし、まちづくりコミュニティでも描いて、とにかくにも色々なところに積極的に入っていきました。 ただ、失敗もしたので、その頃は意外と悩んでいました。うまく表現ができなかったり、聞き逃したらどうしようと焦ったり、講演者を怒らせたこともありました。主役は講演者なんですが、すぐ隣でグラレコをしていると、「受講者が講演者を見ない」という問題が起きたんです。結果的にはそれも学びでした。以降、私は目立たない位置で描いています。 そうしてやっていくうち、だんだんグラレコのやり方や勘所が分かってくるんですね。 例えばアイデアを発想する場面では、電球が光ることで表現すればいい。アイデアが出る前、出た後みたいな表現もできる。今紙が引っ張られてちょっと破れてしまいましたが、その瞬間に「この破れをどう活かすかな」と考えるんです。ケンカのエピソードに活かすとか、テープを描いて修復することもできますね(笑)。発想の訓練にもなります。藪を切り開くように、やりながら失敗を活かせるということに気づいてきました。

Q

実践的なテクニックについても少しお聞きしたいんですが、会議で違う意見が多い時や食い違った時に、本園さんはどうまとめていらっしゃいますか。

本園

描くことで導きやすいのは、正解よりも納得解なんですよ。100点でなくても、「それでいい」という納得解をつくるのがポイントです。 だから、簡単なのは投票してしまうこと。「いっぱい意見が出たけれど、どれがいい?」と、シールやマグネットを良いと思ったところに置いてもらって、どれが一番良いと思われているかを可視化することもあります。

Q

その方法は、意見を言えない人にも有効そうですね。

本園

そう、それにもテクニックがあるんです。机の上で、意見を言った人の近くに意見を寄せて描いていくんです。 よく話す人の近くには描くスペースがなくなる。あまり話していない人の場所には空白がある。 そこで「この空白を埋めたいんですが、どうですか?」と聞くと、その人は自分の場所が空いているので、遠慮しながらも話してくれます。意見の量の可視化で、全員発言を促していきます。 あるいは、全然関係ないことをしゃべる人がいるじゃないですか。特に偉い人とか(笑)。 そういう時は、「いいお話ですが、どの辺の話ですかね」と聞きます。「ここにはないんだよ」と言われたら、「じゃあ、ここに置いて後で考えましょう」と端の方に描いておきます。 意見が捨てられたわけじゃないし、否定もされていない。受け止めて描いてもらったから、話した方も、なんとなく納得できるんです。

Q

早速使ってみたくなりますね(笑)。

本園

紙のどの位置に描くかにも意味があります。 よくある使い方は、上の方はポジティブ、右は未来とします。目標を右上に描いて、会議を誘導しながらどんどん右上に持っていくと、右肩上がりではないですが、目指すべき方向性が定まっていきます。これもテクニックですね。「では、現在地はどの辺りか」という話ができます。 盤面をフラットに使って、チームビルディングに使うこともできます。 社長の話を社員みんなでグラレコすると理解の違いが可視化されるので、課題や解決策を見つけることにつながるかもしれません。

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違いは、学び。上手・下手じゃなく、違うことが大事なんです。

Q

これまでに本も出していらっしゃるし、グラレコの講座も沢山されていますよね。

本園

教えるようになったのは、自分が苦労したことを、みんなには苦労させたくないと思ったからです。 でも、むしろ教える側になってからの方がたくさんの気づきがありました。 グラレコをすると、みんなが“喜んで”くれるんです。それを見た時に、自分の心がちょっと動いた。 グラレコ講座をすると、受講生の表情に、さらに“驚き”や“感動”が加わるのが分かったんです。その姿を目の当たりにして、「これだ!」と思ったんです。過去に経験したどの感情とも違うものでした。野良修行でUXデザインの勉強もしていたので、「これが顧客体験なんだ!」と実感しました。 また、一見するとあまり関係性がないものが、自分の中で統合していく感覚もありました。様々なことをやってきたけれど「無駄なことは何もなかった」と感じたんです。

Q

教えることで、自分が学ぶこともあったということですね。

本園

はい、みんなこうも考え方が違うのかと、さらにたくさんの気づきがありました。 グラレコ講座の中で、必ず最初にやるワークがあります。 「“セン”を描いてください」と言うんです。 すると、みなさん色んな“セン”を描くんですよね。まっすぐな“線”を描く人もいるし、螺旋を描く人もいる。ちょっとあまのじゃくな人だと瓶の“栓”のイラストを描いたり、温泉のマークの湯気の“線”を“泉”とかけて描いたり。“千”手観音の絵を描き出す人もいます。同じ言葉なのに、みんな違うことを描いている。 私はそこで必ず、「違うというのはいいことですね」と言います。 違うはいいこと。でも、もっと踏み込みたいんです。 違いは、学びなんだ、と。 学びって「まねぶ」「真似る」ということから来ているとも言われていますよね。だから真似るための引き出しが増えることによって、みなさんも上達していく。ただ引き出しを増やすだけいいんですっていうんです。今日はその引き出しを私も教えるし、みなさん自身も教え合ってください、と。みんなを先生にして、一緒に学び合う場所にしたいんです。 上手とか下手じゃなく、「違う」ことが大事なんです。

Q

沢山の違いを知ることで、逆に共通項も見えそうですね。

本園

グラレコでは、うまく描くことより、伝わることが大事です。 伝わるって何なんだろうというと、物事の本質を描くことなんですね。我々が物事を認識する時に、何を見たらそう見えるかを考えることなのです。 例えば、同じような顔の2匹でも、耳の形を三角にすれば猫です。丸くすると虎に意味合いが変わる。絵は記号でしかないって考えると気が楽になる。 文字もある意味同じです。我々はアラビア語が分からないけれど、学べば読めるようになる。絵を描くことに苦手意識がある人もいますが、漢字を覚えてきたのと同じように、覚えれば描けるようになります。

Q

グラレコ=絵を描くことが核心ではないわけですね。

本園

そうです。結局、絵そのものはタグ付けでしかありません。 「描く」と「書く」の文字だけで想起するイメージが違うように、絵とイメージを紐づける作業です。グラレコは、体験を共有しているみんなに通じる言葉なので、上手に描く必要はないんです。 講座後に「こんなに簡単だったのか」と思ってもらえるのが一番理想です。「こんなので描けるなら、先生は要らないね」って言われたら最高ですね。 私は、講座でいつも必ず「誰でも描ける」と言います。実際、本当に描けるんです。

Q

なるほど。イメージの共有や、共有しながら話す時間の方が大事ですね。

本園

そうです。今、こうして描いた絵を見ながら取材体験を共有しているから、そういう話がスッと出てきますよね。ズレがなくなっていく過程を、無意識のうちに体験してもらっています。 「そうだよ」も大事なんですけど、「そうじゃない」も大事です。違うと言われたら、話を聞き描いたり描いてもらったりして、どんどんすり合わせていける。 ズレはあって当然です。それを可視化することによって初めて、「どう合わせましょう」とか「違ったままがいい」とかいう議論ができるんです。 違うことにこそ価値がある。それは何故かというと、気づき、学ぶことができるからです。

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o-i STUDIOで人気の大きなロール紙にペンを走らせながら、「会社の各部署に、グラフィックレコーダーが1人くらいいたらいいなと思っています。仕事が楽しくなるし、もっといろんなアイデアが出るし、日本自体がもっと元気になるんじゃないかなという、壮大な野望があるんです。」と本園さん。

女子学生が感動で涙を流した日。 「ここに命を使うべきだ」と思った。

Q

グラレコを続けていくモチベーションはどんなところにありましたか。

本園

自分がこの道で生きていこうという使命を感じた瞬間がありました。 あるグラレコが終わった後に、大学生の女の子が来て悩んでいるって言うんですね。「描いてあげるから考えていることを話してみたら」と、聞いた話をグラレコで描いていたんです。 すると、描き終わった頃に、涙を流し出したんですよね。 「どうしたの?」と聞いたら、「自分はコレがやりたかったんだけど、自分で気づかないフリをしていました。一度は諦めたけど、やっぱりこの道を行こうと思います」と言ったんです。 その時に私は、ここに命を使うべきだなと思いました。使命はここなんだと、すごく感じた瞬間です。

Q

感情を可視化してもらって、自分と向き合う時間になったのでしょうね。

本園

そうかもしれません。 彼女が「胸の中に逆風がある」と言うから、風を描いた。「この風はどこから来るんだろうね」と聞くと、しばらく考えながらポツリポツリと喋ってくれました。そうしてどんどん絵にしていく中で、「自分はここで心がつかえていたんだ」と気づいて、「私はそんなことで諦めようと思ったんですか!」と、自分自身を振り返っていくわけですね。

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Q

本園さんの場合、話し方や思いの引き出し方にも多様なスキルを駆使されているように感じます。

本園

でも私は、それを自分だけの特性やスキルではなくて、テンプレート化して誰でも使えるようにしたいと考えています。 誰でも描けるにはどうしたらいいんだろうといつも考えています。 描くことを意識すると観察眼が養われます。。 観察眼が養われると気づきが増えて人生が楽しくなる。普段の生活が楽しくなるんですね。

Q

学校でもグラレコを使われるんですね。

本園

学校ではキャリア教育の一環でご紹介したことがあります。 本当にありたい目標を書く方法として、まず夢は真ん中に描くといいんです。そして、「この夢が叶ったら、あなたは何をしたいですか?」と聞き、右上に答えを描きます。 これはコーチングの手法のグラレコへの応用です。本音が出てきて面白いですよ。 研修医向けにやった講座で、「神になりたい」と言った方がいました。「神様になったらどうするんですか」と聞いたら、「救えなかった患者さんがいるので、僕は目の前で亡くした人を救える、神様になれるような医者になりたい」と話されたんです。 そうすると、夢の先の未来、本当に実現したかった未来と、原点が明確になります。 夢は目的地じゃなくて、通過点かもしれない。その先に何をしたいのかが見えてきます。

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本園

私、実は、占い師もやっています。プロのタロット師の資格を持っているんです(笑)。 というのも、キャリアコンサルタントの勉強をしていて、先ほどの女子学生のケースのような、未来に関わる仕事をしたいと思っていました。でも、「キャリアの相談をしたい人」はキャリアコンサルタントのもとになかなか来ないじゃないですか。まずは気楽に話ができる占いを入口にしたらどうなんだろうなって。占い好きの方は多いですし、それで前に向かって歩くことができるのであればいいんじゃないかって。だから、占いなんです。 私は占い師と言いながら、実際は占っていない「占わない師」です。 占いは話を聞く入り口であって、カードに意味を持たせるのは相手に任せます。私が考える「当たる占い」というのは「未来を当てる」のではなくて、占われた本人が「描いた未来に当たりに行くこと」なんです。 私はいつも「ありたい未来を実現するお手伝いをします」「行動が変われば未来は変わります」と話しています。 イメージができれば、夢は叶うんですよ。チャンスはたくさん転がっているのです。そのチャンスが来た時に掴むかどうかなんですね。チャンスを掴むために、目線を少しだけ上に向けてあげるのが私の役目です。

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最終的に机いっぱいに広がったグラレコ。取材のポイントが押さえられているだけでなく、聞いた瞬間の気づきや納得感も想起できます。

Q

AIやデジタルツールが進化する中で、手描きのグラレコにはどんな価値があると思いますか。

本園

私は本業でAIの仕事をしていますし、グラレコ自体をAIにやってもらえるか、研究所で試したこともあるんです。でも、なかなか難しいですね。
圧倒的な違いは、リアルタイムに話を描いて、みんなが同時に見て話せるということでしょうか。
絵を使って話ができる、それが、描くことがなくならない理由かなと思います。
手を動かして描くことにも力があります。脳が活性化するので発想も広がりますから。AIは結局、今あるものを集大成にしているだけ。ゼロからイチを生み出すことは、まだ人間にしかできないことじゃないかと思います。
それに、インターネットに載っていない世界をAIは知ることができない。だから、私は現場に行きたい。話をもっと聞きたい。それをAIにインプットしてヒントや候補を出してもらうなら、学び方が変わるのかもしれませんね。

Q

最後に、グラレコを通して本園さんが叶えたいことは何ですか。

本園

一番は、みんなに夢を叶えてほしいって思うんです。本当にやりたいことを叶えてほしい。
パソコンでもスマホでも、自分の嬉しいを想像して買うんだけれども、その時に、「何で買うんだっけ?」と考える。
多分「笑顔になる」ためになるためなんですよね。
その「笑顔になる」本質に気がつく人が増えたら、世の中はもっとワクワクに満ちていくと思います。みんながワクワクできるような、そんな社会にしたいです。
私はたまたまグラレコが使えるだけで、他の人は他の得意なことが必ず何かあります。みんながそれぞれの強みを活かし弱みを補う、そんなパズルのピースをつなぐような世界が実現できたらいいなと思っています。

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人の話を聞き、頭の中にあるものを描く。
違いを可視化してイメージをすり合わせ、空白を見つけて問いかける。
夢のその先を可視化し、悩みややりたいことの本質を描き出す。
それがグラフィックレコーディングの役割だと、本園さんは言います。
AIが画像を生成する時代になっても、現場で対話し、手を動かして描くことの意味がなくなることはないはずです。
その場にある感情や熱量も、迷いも、絞り出した本音も、その場にいる人たちが共有しているものですから。

本園さんが使う筆記具

プロッキー

グラレコを始めた当初から愛用しているのが「プロッキー」。何度もインクを替え、ペン先を交換しながら、古いもので8年も使い込んでいるとのこと。自分用の目印にシールを貼って使われています。
グラレコ講座の受講生にも、必ずプロッキーを渡すのだとか。「プロッキーは誰でもどこでも買えるでしょう?そこがいいんです。私もこれを使っています、あなたにも描けますよって伝えたいんです。」

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