開発メンバー × ユーザー
スペシャル対談

JETSTREAM Liteのこと

開発メンバー ×ユーザーの座談会。
JETSTREAMのユーザーが、新インクの書き味を一足先に体験。はじめて書いてみたインクの感想や、開発秘話や商品のこだわりなど、双方のリアルな声をお届けします。

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時代と共に変化するニーズ

本日はお集まりいただきありがとうございます。まずはみなさんそれぞれ自己紹介をお願いいたします。

百田:

三菱鉛筆の百田です。今回はブランドコンセプトの設計などを担当しました。

渡邉弘平(以下、弘平):

プロダクトデザインを担当させてもらいました渡邉弘平です。

渡辺悠太(以下、悠太):

インクの開発をしている渡辺悠太です。基本的にはインクの調合、成分の配合を試行錯誤したり、先端の金属チップなどと合わせて設計を行っています。

左から、渡辺悠太さん、渡辺弘平さん、百田さん
左から、渡辺悠太さん、渡邉弘平さん、百田さん

松井:

雑誌の編集をしている松井と申します。仕事ではもちろんPCも使うのですが、取材時のメモ取りや企画を考えるときなどにボールペンをよく使っています。よろしくお願いします。

四元:

四元と言います。現在大学3年生で、ボールペンやシャーペンは授業中にも使いますし、私も取材などを行う機会があるので、そういったタイミングや、あとは就活時にも使用することがありますね。

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左から、松井さん、四元さん

松井さんと四元さんは普段からJETSTREAMを愛用しているそうですね。お2人が感じるその魅力について教えてもらえますか?

松井:

仕事柄、一気にバーって書くことが多いんですけど、JETSTREAMはスラスラ書けるし、インクも出過ぎない感じがするんですよね。手が汚れにくいというか。

四元:

それ、すごくわかります。私は左利きなので手が汚れやすいんですけど、JETSTREAMは引っかかりが少なくて、スラスラ書ける印象です。

百田:

ありがとうございます。普段からユーザー調査やヒアリングなどは行っているのですが、こうやってフラットな環境でお話を聞けるのは新鮮な感覚ですね。

早速ですが「JETSTREAM Lite touch ink」の開発の経緯をお聞きしたいです。どのような考え、想いから企画がスタートしたのでしょうか。

百田:

JETSTREAMは今から18年ほど前に国内発売をしたのですが、当時は賛否両論がでるほど斬新なインクだったんです。実際に社内でも「なめらかすぎて違和感がある」という意見もありました。

松井:

そうなんですね! ちょっと意外です。

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悠太:

従来製品と比べインクの粘度が1/10程度になったこと、また先端のチップから出るインク量も、倍近く出ていたのも要因かと思います。

百田:

そんなインクも発売から長い年月がたち、ありがたいことに「定番・ちょうどいい書き味」と言ってもらえることが増えました。

ただ身の回りをみると、筆圧低下も影響して子どもが使う鉛筆は、HBより2Bが一般的になりました。大人のボールペンの使い方も、時代とともに多様化しています。この先も使う人が変わり続けるなかで「JETSTREAMは果たしてこのままでいいのだろうか?」という疑問を起点に本企画が立ち上がりました。

松井:

言われてみれば、私も用途に応じてボールペンを3つくらい使い分けているので、色々な選択肢があるのは嬉しいかも。

四元:

素早くメモを取るときと、じっくり字を書くときなど、用途に応じてペンを使い分けたいですよね。

「JETSTREAM Lite touch ink」の特色は何よりも新しいインクですよね。こちらはどういったことを意識されたのでしょうか。

悠太:

JETSTREAMの元々の魅力であるなめらかさ、書き味、書きごたえは残しつつ、その上で新たな表情を見せたいなと。感覚的な部分なので言葉にするのが難しいのですが、一般的な油性ボールペンの書き味は少しもったりしているのに対して、JET STREAMはヌルヌルしている。このヌルヌル感を保ちつつ、ゲルインクボールペンのようなサラサラ感に近づける。でもJETSTREAMから離れ過ぎてはいけない。そういったことにトライしました。

百田:

すごく繊細なバランスを突き詰める作業だったので、開発はとても難しかったです。たとえば、抵抗なくサラサラ書けるのに、しっかりと書き応えもほしい、みたいな。一見両立しなさそうなところを共存させる配合を目指して、何度も調整を繰り返しました。

開発には3年間という長い年月をかけたと聞いています。どのように開発を進めていったのでしょうか?

悠太:

インクだけでなくチップとの組み合わせで、何度も試行錯誤を繰り返しました。
その繰り返しの中で、我々が思い描く新しい書き味へと少しずつ近づけていきました。

百田:

社内外問わずJETSTREAMのヘビーユーザーに何度も使ってもらい、フィードバックをもらいながら進めました。

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空中で書いてるみたいな感覚

せっかくなので、松井さん、四元さんのお2人に実際「JETSTREAM Lite touch ink」を使ってもらいましょうか。まずはシングル(単色ボールペン)から。

四元:

え、すごい。なんか抵抗感がないというか、空中でスラスラ書いてるみたいな感じ。

松井:

すごく軽い感じがしますね。ササッと早く書くときに向いてそう。それでいて、インクもしっかり出ている気がします。

四元:

色も少し濃く見えますね。

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悠太:

軽さだけでなく、しっかりと線が書けるという点にもこだわったので、すごく嬉しいコメントですね。

四元:

インクがしっかりと出てるのに、裏には全然染みてないですね。私は筆圧強めなので、これは嬉しいです。

悠太:

我々は「裏抜け」と呼んでいるのですが、そういった点もインク開発の段階では気をつけながら設計しました。

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時代の空気感を落とし込んだ
デザイン

松井:

デザインもかわいいです。実際に持ってみると、手に馴染むような感じがする。

弘平:

JETSTREAM発売当時と現在では、“働く”というイメージも異なってきていますよね。「スーツを着てガツガツ働く」といったイメージから、より多様性が重んじられるようになったり、仕事と私生活の境界線が曖昧になってきたり。そういった時代の空気に合うようなデザインに落とし込みました。

松井:

たしかに従来のJETSTREAMはちょっとゴツゴツしているというか、カッチリしている印象ですよね。一方で「JETSTREAM Lite touch ink」は柔らかい印象ですよね。

弘平:

新しさを打ち出している一方で、実はデザイン面でもJETSTREAMのDNAはしっかりと引き継いでいるんです。このノックカム部分やクリップなどは従来のJETSTREAMの面影があるんじゃないかなと。

松井:

本当だ! よくみるとちゃんとJETSTREAMなんだってわかります。

四元:

個人的にはカラーラインナップも好みです。

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弘平:

ありがとうございます。そういった時代の空気に合うようなデザインに落とし込みました。今までは黒や白がスタンダードでしたが今は家電や雑貨などを見てもダークグレーやオフホワイトのような生活に溶け込む色合いが主流になっていると思います。そういう時代背景も加味しながら軽やかな世界観との両立を目指した上で、軸色も決めていきました。

四元:

なるほど。あと、グリップが同色なのもかわいいですね。

弘平:

グリップと軸はもちろん別々の素材を使用しているんですけど、できる限り同じ色味に近づけました。ここも地味に苦労したポイントですね。

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では、次に4&1(4色ボールペン&シャープ)も体験してみましょう。

四元:

書き味はもちろん、何だか実際に持った感じも軽い気がします。

弘平:

重量というよりは重心が大きく作用しているんだと思います。重心を下げて書きやすさを求めながらも、 重くしすぎない。逆に軽すぎても安っぽく感じたり使いづらくなってしまうので、そういったバランスも慎重に詰めていきました。

百田:

あと、実際に従来のJETSTREAM 4&1より軸長が短くなっているんです。

四元:

そうなんですね。

弘平:

短寸にすることで、後端のノック部分にもアクセスしやすくなっています。女性の手にもより馴染みやすいんじゃないかなと思いますね。

四元:

(実際にノックしてみて)本当だ! これはめっちゃ変わったなって実感できます。

弘平:

あと、細かいんですけど、インク色の表示部分もより控えめなデザインになっています。デザインチーム内では「普通になることを恐れず、むしろ極めよう」と話していて。目を引く斬新さではなく、日常に溶け込むようなデザインで、だけどよく見ると新しい、そんなデザインを目指しました。

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左:従来の4&1  右:新商品 インク表示部分が控えめな配置になっている

百田:

ふつうを突き詰める、というのは機能面でも意識しています。例えばシングルモデルでは一度ノックをすると、解除するまでノックが動かない仕掛けが入ってます。これは筆記時のわずかな振動や異音を抑えて、より快適に筆記して頂くための工夫です。他にもクリップは手帳やポケットに挟んだ時に、飛び出しが少なくスッキリするよう設計しています。このように「使い手が意識しなくても、当たり前に使いやすい」ことを意識し、細部を作り込んでいきました。

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上:従来商品 下:新商品 手帳やポケットから飛び出す部分が少ない
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新たな選択肢の提案

松井さん、四元さんのお二方に、開発サイドのお話を聞いて、そして実際に使用してみた感想を改めてお聞きしたいです。

松井:

普段なかなか気づけない細部のこだわりについても知れて嬉しかったです。

四元:

こういうお話を聞くと、ますますJETSTREAMのことを好きになっちゃいますね。

今後どのような場面で「JETSTREAM Lite touch ink」を使用したいですか?

松井:

「JETSTREAM Lite touch ink」はデザイン的にも書き心地的にも日常に寄り添ってくれる感じがするというか、オフの日もバッグに忍ばせておきたいなって感じました。仕事スイッチを入れるときはJETSTREAMで、ちょっとカジュアル目なときは「JETSTREAM Lite touch ink」にしたり、そういった使い分けもよさそうだなって。

四元さんはいかがですか?

四元:

書き味がとても軽やかなので、長時間の勉強にもよさそうです。普通のペンだと疲れちゃうこともあるんですけど、これならストレスなく使い続けられそう。

松井:

あと、お気に入りの手帳と合わせて使うとテンション上がるかも。

四元:

色合いが柔らかいから、ネイルとの相性もよさそうですよね。

松井:

たしかに!

百田:

我々としては新しい選択肢を提案したいという想いが根底にあるので、さっき松井さんがおっしゃられたように、使用目的やシーンによって使い分けてもらえると嬉しいですね。18年前に発売されたJETSTREAMが今も愛されているのは、本当に素晴らしいことだと思います。コーヒーもブラックやミルク入りなど、歳を重ねて好みが変化することもあるし、その時の気分でも飲みたいものが変わったりしますよね。それくらい気軽な感じで選んでいただけたらなと思います。

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